今回は少し日本の歴史のお話から。
昨年は 「源氏物語千年紀」 でした。紫式部日記に“若紫”や “源氏”などの記述があったのが1008年
11月だっだそうで、それからちょうど1000年経ったのですね。 「源氏物語」は読まれましたか?
私は六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)が好き。高貴で教養高くバリバリにセクシー。半端じゃない嫉妬と執念深さは日本記録保持者かも(笑)。
今年は 「横浜開港150周年」。江戸幕府が横浜・長崎・函館の3港を開港し、自由貿易を許可したのが1859年。250年にわたる鎖国が解かれ、西洋文明への窓が改めて開かれたのです。
私の地元横浜は今も開港150周年イベントで大変な賑わいです。
来年は、さて皆さん何の年だかご存知ですか?
バンクーバー冬季オリンピック開催!・・・・・・正解です。
サッカー・ワールドカップ 南アフリカ大会 開催!・・・・・・ご名答です。
サムライ・ジャパンの活躍は、やっぱり“日本酒”かた手に応援しましょうよ。
国内のイベントだったら何でしょう?
そう、来年2010年は「平城遷都1300年」の年なのです。
小学校で覚えましたよね、“ナント(710)”美しい平城京。“ナクヨ(794)”うぐいす平安京。
飛鳥から藤原京、そして奈良に都が移されたのが710年。
「あをによし奈良の都は咲く花のにほふがごとく今盛りなり」って。
あれからもう1300年かぁ、時の経つのって早いですねぇ(???)。
来年の奈良は要チェック!
平城遷都1300年祭はそれはそれは壮大なイベントになりそうです。なにしろ総事業費は
100億円、全体で1200万人以上の来場者が見込まれています。会期は来年1月から12月。イベント中心地の平城京跡では4月から11月にかけて様々な興味深いイベントが開催されます。
お祭のテーマは『平城遷都1300年を機に、日本の歴史・文化が連綿と続いたことを“祝い・感謝”しつつ、“日本のはじまり奈良”を題材に過去・現在・未来の日本を“考える”』。
詳しくは
こちら
。
こちら
のプロモーションビデオも素敵です。

私は京都も好きですが、奈良も大好き。
大和は国のまほろば。豊かな自然が残る奈良の空気を吸い史跡や山里を訪ね歩くとき、太古の昔より連綿といきづいてきた日本人の心のよりどころを想い、万葉の詩に込められた天平のロマンを感じます。

悠久のときを重ねて未来に繋ぐ賑わいの中 平城京周辺に遊ぶもよし、日本人の心のふるさとを訪ねて斑鳩・信貴山を巡るもよし、葛城周辺には古代王朝の神話やロマンを感じるわ。南へと吉野まで脚を伸ばせば五感に浸みる静謐な自然と神秘が疲れた体を癒してくれそう。大和高原や宇陀地方の古い町家と山里の風景に心がなごむことでしょう。そして、飛鳥・藤原周辺は私の大好きな香り高き万葉のふる里。
恋ひ恋ひて逢へる時だに うるはしきこと尽くしてよ 長くと思はば
社寺・国宝を巡る、古道を巡る、歴史・文化を巡る、花と自然を巡る奈良の旅。どうでしょう、オトナの修学旅行に相応しいと思いません?
NARAは来年 大ブレイク間違い無しですょ。

おっと、思わず奈良の観光大使になってしまいしたが、ここでもう一度「平城遷都1300年祭」のテーマを思い出して、“日本”を“日本酒”に置き換えてみて下さい。
『平城遷都1300年を機に、日本酒の歴史・文化が連綿と続いたことを“祝い・感謝”しつつ、“日本酒のはじまり奈良”を題材に過去・現在・未来の日本酒を“考える”』。
そう、ご存知でしたか? ホントに奈良は日本酒発祥の地なんですもの。奈良の蔵元さんをお訪ねしなきゃ。

っと言うわけで今回おじゃましたのが、南都諸白
『春鹿(はるしか)』の醸造元としてその名を知られる
今西清兵衛商店
さん。私の大好きなお酒のひとつで是非一度お訪ねしたかった蔵元さんです。
新宿の地酒処「
吉本
」の大原さんと、
日本名門酒会
の立田さんに同行させて頂きました。
その伝統の銘醸蔵は春日大社や興福寺、東大寺などの世界遺産にほど近い、昔の町家の風情を残す閑静な奈良町の一角にありました(近鉄奈良駅から徒歩15分)。

ご案内して下さったのは今西清隆社長。先代社長のもとでは専務として、今は5代目蔵元として今日ある『春鹿』の人と機械のインフラ構築に、営業の発展に、出色のリーダーシップをもって辣腕を振るわれた青年社長です。でも、お人柄はとてもチャーミング。優しくて自然な気配りが上品で、礼儀・折り目正しくて、面白くてユーモアのセンス抜群。『春鹿』には女性ファンが多いと言われるのが納得です。

まずは、今西家書院から拝見しました。 蔵のすぐ隣にあります。 これは、永く興福寺大乗院家の坊官を努められた福智院氏の居宅を大正13年に今西家が譲り受けたものです。 銀閣寺の東求堂と同じく室町中期の書院造りの最も古い遺構を残しているといわれます。上段・中段・下段と部屋に段差が設けられ、身分と位によって上がれる部屋が限られていました(今は誰でもOKですょ)。柱の面取りが室町時代の特色をあらわしています。 民間所有の建造物として初めて国宝の指定を受けたひとつでしたが、江戸時代の一部改造を理由に戦後は重要文化財に指定されました。
今西家は、この書院を一般に開放しています。
予約をすればお食事もいただけますし、喫茶はいつでも楽しめます。穏やかな空気が心地く流れる書院造りのお部屋でいただく“おうす”とわらび餅は格別でした。
『春鹿』 はここで恒例のお酒の会を催します。上方落語の噺家さんをお呼びして開催する“落語とお酒の会”も大人気だそうです。
さて、いよいよ蔵におじゃします。
連子格子の木戸を引いて中に入ると、そこは「蔵SHOP」。
お酒やお土産を買い求めたり、きき酒ができます。
鹿をあしらった、焼ものやガラス工芸のオリジナル酒器たちがとてもおしゃれです。
「このグラスで、このお猪口で『春鹿』をいただいてみたい♪」と、思わず衝動買いしてしまいました。

奥のコーナーではゆっくりと時間が過ぎる空間で5種類のお酒を一杯ずつ試飲できます(400円)。オリジナルのきき酒グラスはお持ち帰りできます。お一人のお客様にも必ず社員さんがアテンドして和やかにお酒のご説明されていました。 奈良町散策の、『春鹿』 訪問の思い出を豊かにしてくれる心配りです。
国のまほろばを訪ね、奈良町散策の途中にふと立寄って、ゆったりと奈良の美禄『春鹿』の飲み比べ。 これは絶対にお薦めのコース。奈良町散策に『春鹿』は外せませんよ。お店のお休みはお盆と年末年始だけ。いつでもフラっと立寄れるのが嬉しいですね。
『春鹿』って名前がステキですょね。清々しくて穏やかで気品を感じます。
奈良の銘酒にピッタリのネーミング。
春日大社が創建された時(8世紀 藤原氏全盛の時代)、もともと茨城の鹿島におられた神さま(たけみかづちのみこと=藤原氏の氏神)を空飛ぶ白い鹿にお乗せして春日にお招きしたという伝説があります。奈良の鹿たちはその子孫なんですって。なんと軽やかで神々しくロマンチックな伝説でしょう。酒銘の由来でもあります。もともと『春日神鹿』(かすがしんろく)と命名されて後に『春鹿』に改められて今日に至っています。
いよいよ蔵見学です。夏ですから蔵の動きは止まっていますが、造りの全ての作業場を、今西社長はひとつひとつ丁寧に分かりやすくご説明して下さいました。30俵ばりの自家精米機、KOS自動製麹機(前回おじゃました『大山』にもあったな)、麹むろ、酒母室、純米大吟醸専用の槽などなど殆どの作業場はもうすぐ始まる新しい年の酒造りに備えて静かにお休み中です。そんな中、冷蔵の大吟醸室にはト瓶に囲われた珠玉のお酒たちがひっそりと冬眠(夏眠?)していました。その妙なる山吹色を見た瞬間、思わずヨダレが・・・(汗)。
印象的だったのは蔵全体が清潔感に溢れていること。それと、各所に掲げてある春鹿「基本理念」の高札。
曰く; 米を磨く、水を磨く、技を磨く、心を磨く
そう、今西清兵衛商店では心技材(体)を磨きながら、明治17年以来5代にわたり“南都諸白”(注1)の伝統を受け継ぎ、育み、鍛え、高めてきたのです。
戦中から戦後にかけて三増酒(注2)が闊歩し大手メーカーが資力に任せて日本酒市場を席捲せんとしていた時代。地方の“地酒蔵”はその存立基盤をどこに求め、そのアイデンティティを何とするか、今西清兵衛商店の当時の跡取りである4代目 今西清悟氏(現会長)は生き残りをかけた選択を迫られます。大学を卒業後に国税庁醸造試験所に勤務した当時、鑑定管として各地の蔵元と交わる機会に恵まれ思索・模索を重ね結果たどり着いた結論は、南都諸白の伝統への回帰でした。奈良で奈良の酒を造り“地酒蔵”として生き抜く決意です。 日本酒の長い歴史のなかで、奈良時代から昭和十年頃までの実に千数百年間、使用する米の精米の違いや製法の違いはあっても、日本酒は全てが“純米酒”だったのですから。「やはりうちは“純米酒”を造ろう。“純米酒”で奈良の蔵元としての伝統を守り育てて行こう」。この英断が今日の『春鹿』の原点とも言えます。その一歩は“純米酒” (注3)造りから始まり誕生したのが超辛口の原型でした。
蔵では今、全製造量の95%が“純米酒”になっています。でも、ただ単純に全量純米酒を目指しているわけではありません。
今西社長はおっしゃいます。『そもそもお酒は嗜好品。ひとの好みは十人十色』、『純米酒なら美味しく、そうでない酒は美味しくないということではない』、『純米大吟醸でも手ごろな本醸造でも、誰と飲むか、何処で飲むか、いつ飲むかのTPOがお酒の味わいと価値を左右する、まさに Priceless の世界だと思う』、『純米・アル添(注4)是非論などよりもお客さまのご支持こそが原点であり、“南都諸白”の伝統と技をもってそれにお応えする酒を造ってゆきたい』と。
先代が英断をもって回帰した“南都諸白”の伝統を礎に、今西清隆社長が確固たる『春鹿』ブランドを伸びやかに構築してゆく。その秀逸な酒質と味わい・香りコクにキレ、すべての点で先進技術と高品質を誇る奈良酒「南都諸白」の伝統を今に伝える銘醸蔵として、『春鹿』国内はもちろん世界十数カ国で絶大な人気を博しています。

ひと通りの見学を終えた後、今西社長が特別に8種類のお酒のきき酒をさせて下さいました。
新宿の「吉本」さんで近々開催される『春鹿を楽しむ会』の打ち合わせを兼ねて。
では、そのお酒たちをご紹介しましょう。

『
春鹿 純米吟醸生詰酒 ひやおろし
』(五百万石、精米歩合60%)
春先に搾って一度火入れをして貯蔵し、ひと夏を越えてほどよく熟成した「秋上がり」のお酒です。これらを総称して“ひやおろし”と呼びます。語源は「瓶づめ前の2度目の火入れをせずに冷たいまま卸すから」。穏やかな吟醸香と口中にふくよかに広がる上品な旨味が鮮烈な印象でした。ちなみに今年の『春鹿』の“ひやおろし”、まだ発売前だったんです。なんと贅沢なこと。夏が終わるのは寂しいけど、“ひやおろし”をいただくと秋が楽しみになります。秋刀魚にキノコに栗ご飯♪ 秋の味覚を引き立ててくれるまろやかな口当たりはやっぱり“ひやおろし”ですね。
『
春鹿 純米 超辛口
』(麹米・掛米:五百万石、精米歩合58%)
『春鹿』の背番号10番! 『春鹿』の司令塔でありゲームメーカー(私、サッカー大好きなんです、ラグビーだったら花形のスタンドオフですね)。『春鹿』を代表する不朽の名作・人気商品です。発売されたのは25年も前ですょ。その当時に“超(チョー)”のネーミングを考えたとは、チョーすごい。名前を聞くとすごく辛いお酒を想像しがちですが、米の旨みの中に、見事に調和したコクとキレ!。程良い自然な辛さの口当たりもまろやかです。まさに飲み飽きせずに『春鹿』をいつも感じていられるお酒。家飲みには最高だな。

『
春鹿 純米吟醸 封印酒
』(山田錦、精米歩合55%)
出ました日本名門酒会オリジナル! 最高品質の香りも旨みもキレもコクも、全てを大切に大切に“封印”してお届けすると言う商品コンセプト。その名の通り、優雅で上質な吟醸香と軽やかな旨味、シルクのようにまろやかな舌ざわりのバランスの良さはさすがです。文句のつけようが無い優等生って感じ。どなたが召し上がっても相好を崩されるはず。 とにかく美味しい。

『
春鹿 山廃純米 超辛口 生原酒 青乃鬼斬(あおのおにきり)
』(麹米・掛米:五百万石、精米歩合58%)
7月中旬から発売された限定品で、もう完売してしまいした。くそぉ~来年は絶対買うぞ!!夏に“燗酒”って飲まれます? 夏は“生酒”を冷やしてってイメージがありがちですが、盛夏にウナギの白焼きをワサビ醤油で“ぬる燗”と、なんて最高です。造りの確かな山廃・辛口なら文句無し。良い“生酒”はお燗にしてもすっごく美味しい。表情の変化も楽しめます。冷たいもので疲れたお腹もホっこり。スタミナ回復・食用増進! そんなシーンにぴったりだと思えるのがこれ。もちろん冷やも最高です。贅沢にも氷温の酒蔵でじっくりと力をたくわえた清々しい香りに豊醇な旨み。極めつけは鬼おも倒すほどの冴えわたる斬れ味。あぁ~来年が待ち遠しい。

『
春鹿 純米大吟醸 原酒 華厳
』(山田錦、精米歩合:麹米40%、掛米35%)
こちらは『春鹿』の背番号11番!。まさに不動の『春鹿』のエース・ストライカーです。全ての日本酒ファンのゴール・ネットを揺らし、誰をも虜にしてしまう気品ある華やかな香りと厚みのある旨味のバランスは見事。さすが『春鹿』渾身の自信作です。『春鹿』のイメージである“上質”を彩り豊かにキャンバスに描くとこんな感じかな。当然冷やしていただくのが王道ですが、旨みがしっかりしてますからねぇ、ちょっと遊んで“お燗”でいただいてみるのも贅沢かも。
『
春鹿 木桶仕込 第2弾 旨口四段仕込み純米生原酒
』(奈良県産「ヒノヒカリ」、精米歩合:70% )
昔ながらの木桶で仕込みを行い発酵させたお酒です。奈良こそは木桶発祥の地。南都諸白の継承者たる『春鹿』が木桶を使わずにどうする。その意気込みと柔軟な発想がこんな楽しいお酒を醸します。南都諸白の伝統に“遊び心”をスパイスして造りこんだ木桶仕込の第2弾です。第1弾の山田錦を55%に磨いた純米吟醸生原酒も大好評でしたが、こちらも絶品。ほど良い酸味と心地よく口に広がる旨味に奥深い甘味。全体的に絶妙なバランスを保ちながら切れ味もシャープ。この複雑かつ妙なる味わいは木桶仕込だからこそ体験できる逸品です。ラベルもおしゃれだし、その味わいはワイン通をも唸らせます。
来月10月には第3弾もリリースされるそうです。奈良県単独の酒造好適米「露葉風」を山廃で仕込み、今度は1回火入れを300本、生酒を300本とし、前者は常温で鍛え後者は氷温度貯蔵で過保護に育ててみるんですって。「双子のお酒が生い立ちの違いでどう成長するのか試したい」とは今西社長。真剣勝負の造りにあっても“遊び心”を失わないっていいな。どんなお酒ができあがるのかしら。今から楽しみですね。

『
春鹿 旨口四段仕込
』(奈良県産『ヒノヒカリ』、精米歩合:70% )
地元奈良の篤農家の方々が低農薬にこだわった特別栽培米「ヒノヒカリ」を100%使用します。米の旨味をより引き出す為、新たに採用された「米麹四段仕込み製法」。
香りは控えめ。穏やかでまろやかな米の旨味と甘味に幸せを感じ、キレの良さが次の一杯を誘います。これは常温から熱燗まで温度変化でいろいろと楽しめそうだな。
ではでは、最後に私のお薦めを発表します。
ジャジャ~ン
実は 『春鹿 大吟醸酒粕アイスクリーム(モナカ)』と 『春鹿 奈良漬』なんです。

きき酒の後に、今西社長がご馳走して下さいました。お酒の後にアイスクリーム。これ最高!地元奈良の牧場と共同開発された春鹿の大吟醸酒粕と濃厚ミルクの妙なるコラボです。甘すぎずすっきりと上品な味わいで、大吟醸の香りほのかに口中が幸せ♪ モナカの皮は契約栽培されたもち米100%で作ったこだわりの逸品です。何個でも食べられちゃう。

奈良漬ってあまり得意じゃなかったんですが、ここで私の奈良漬の未来が変わりました。
やっぱりホンモノってすごくいいお味。春鹿の純米や吟醸の酒粕はきゅうりや瓜をこんなに美味しく漬けてしてくれるのね。甘さ控えめで旨みがしっかり。酒の香も穏やかです。お茶漬けでバリバリいけそう。
えぇ~、どうして酒じゃないのかって? 「真面目にやれぇ~」って声が聞こえてきそうですが。

だって、いただいたお酒はどれもホントにホントに美味しくって甲乙なんてつけられません。
でも、「一本だけ持ってけ」と言われれば、私なら『春鹿 純米 超辛口』かな。『春鹿』の営業部の中野さんのお薦めも『春鹿 純米 超辛口』。冷で“ブタの角煮”にあわせたり、“新サンマ”にお燗でいただくんですって。これ、絶対試したい!左の写真は『春鹿 純米 超辛口』の輸出モデル。春鹿の背番号10番は海外でも大活躍です。
皆さんもいかがですか。ご自身の Best of HARUSHIKA を探してみて下さい。
殆どのお酒は『春鹿』の
ホームページ
でも買い求められますが、
日本名門酒会
さんにご連絡されれば、『春鹿』をお取扱いのお近くの酒屋さんをご紹介してくれます。
皆さん、奈良にオトナの修学旅行に行きましょう。
あっそうそう、天皇御即位20年記念の「第61回 正倉院展」@奈良国立博物館は10月24日~11月12日ですって。大和は国のはじまり、奈良は日本酒の発祥の地でもありますが、他にもいろんな“はじまり”がありますね。筆、墨、漆、葛などなど。日本の伝統文化・文化の“はじまり”を訪ねてみましょうよ。
また『春鹿』に寄っていこうかなぁ。
日本の歴史・文化を再発見しつつ心と体を遊ばせる。奈良公園で鹿に出会ったら、そのあしで
『春鹿』へ。
オトナの修学旅行ならお酒も
“あり”でしょ。
by Takako
(注1)“南都諸白”
酒の製法は中国から伝来し弥生時代中期には存在していたとも云われていますが、その製造方法は現在の清酒とはかなり違うものでした。その後、平安時代に出された「延喜式(えんぎしき)」という書物には当時の日本酒の製法が記されており、この頃にその基礎が確立されていたようです。しかし、現在のように、麹米にも掛け米にも精米した白米のみを使用するようになったのは室町時代、興福寺の僧坊による酒造りの中で考案されました。それは「諸白造り(もろはくづくり=麹米も掛け米も両方とも白米)」と呼ばれ、それまでの酒をはるかに上回る良質のものでした。
また、傷みやすかった酒を低温で煮ることで殺菌し、酵素の動きを止めて香味の熟成をはかること(火入れ)もこの時期に考案され、現在の酒造技術の基本となっています。フランスの細菌学者パストゥールが、ワインの保存法として低温殺菌法をあみ出す300年も前のことです。
その他にも菩提(ぼだいもと)と称された酵母の培養法や、仕込みを二回~三回に分けるなどの画期的な技術を生み出したのも奈良(南都)の地であり、諸白造りは「南都諸白(なんともろはく)」と呼ばれ、徳川家康の「奈良酒をもって最上となす」の言葉通り、江戸時代初頭には良質の酒が「下り酒(くだりざけ)」として、江戸に送られました。現代の“下らない”という言葉の語源はここにあるそうです。江戸に“下る”ものは価値があり“下らない”ものは価値の低いものというわけです。
十七世紀にキリスト教伝道のために来日したイエズス会の神父により出版された日蘭辞典には、「MOROFAKU=奈良で作られる最も良い日本酒」と紹介されています(出展:『春鹿』HP)。
(注2)三倍増醸清酒の略語。戦後の米不足時代に導入された。一定量の原材料(米)から、本来の三倍の酒を造るという意味。当然添加物が大量に混入される(大量の醸造アルコール、ぶどう糖、水あめ、乳酸、こはく酸など)。2006年の酒税改正によって添加量が制限され、現在は3倍までは増量できなくなっているが、現代でもなお二増酒などが市場を闊歩している。これを飲むと「美味しい」か「悪酔いする」かはご想像の通り。”三増酒”によって国酒たる日本酒の真価が破壊されたとも言われる。1970年代半ばの地酒ブームなどを通じて、次第に清酒へ高い品質を求める消費者が増え始め、アルコール添加量が少なく糖類などを添加していない本醸造酒や、元来の日本酒である純米酒、更に高品質な吟醸や大吟醸などの生産が増え始めた。
(注3)原材料に米・米麹・水のみを使用した酒。醸造用アルコールなどの添加物を一切含まない。
(注4)「アルコール添加清酒」の略称。大吟醸や吟醸、特別本醸造や本醸造などの「特定名称清酒」では酒にすっきりとした風味とキレの良さを持たせるために、醪(もろみ)の段階から規定量(白米重量の10%以下)の醸造アルコールが添加されていることが多い。増量の為に薄めた醸造アルコールを大量に混入する「普通酒」とは一線を画す。