
最近お酒って何飲んでるの?
「そおねぇ。夏のビールは外せないし、ワインも変わらずに大好き。焼酎は少しご無沙汰かな。でもやっぱり最近は日本酒をいただく機会が一番多いわね。」
どうして?
「日本人だもん!ってのは嘘。 『国酒』だからとか『伝統の食文化』だからとかかしこまった建前は抜きにして、この頃は素直に心から美味しいって思えるの。」
どんなふうに?
「お酒だけをいただいても勿論美味しいけれど、お料理といっしょに頂くと1+1が3になるのよ。お料理と二人三脚で互いを引き立て合うの。食中酒としての価値が日本酒の真価だって改めて思うわ。私、美味しいモノ好きだし。美容にもいいもん。」
・・・・効いてねぇ
「何か言った?」
いや(汗)、ワインも食中酒でしょ?
「そうね、確かにワインも食中酒の王様。でも受け止める料理の幅の広さでは日本酒に軍配が上がると思うわ。冷やしたりお燗をつけたり、お料理や季節に合わせて温度変化を楽しめるのは日本酒だけですもの。」
でも、日本酒っていろいろあるじゃん。選ぶの難しくない?それにどんな料理と合わせるのがいいのか難しいなぁ。
「いいこと教えてあげる。とっても簡単なこと。各地のお酒をね、そう地酒。その土地の名産とか名物のお料理といただくの。地酒はね、あの研ぎ澄まされた味わいや香りの中に風土の恵みが凝縮されてるわ。地酒が一番輝くのはやっぱりその土地のお料理なのよ。」
そりゃ旨そうな話だけど、どこに行けばそんな都合のいい体験できるのさ?
「いろんなお店で地酒を楽しむ会をやっているけど、私が好きなのは新宿の「吉本」さん。今度ね、山形県の『大山』ってお酒を楽しむ会があるの。一緒に行ってみる?」
いいけど、でもどうして「吉本」?
「コストパフォーマンス抜群だから。あそこまで丁寧に企画された地酒を楽しむ会って貴重だと思う。 会を開くにあたってご主人自ら必ず蔵元に足を運ぶのよ。」
蔵元にお酒を買いに行くってこと?
「そうじゃないの。蔵を見学させてもらって、実際のお酒造りの現場を見て、蔵元から話を聞いてまずは自分が納得するまで研究されるの。私達にお酒について分かりやすい資料まで作ってくれるわ。もちろん蔵元さんも登場されるし」
酒の資料とか蔵元とかあんま興味ないけど・・・・
「もーっ、それだけじゃないの。目玉はお料理。吉本さんってね、蔵を訪ねたらその土地の市場や魚屋さん八百屋さんを訪ねあるいて地元の旬の食材と料理まで研究して仕入れの下調べまでされるの。それをお酒の会で再現して私達に食べさせてくれるのよ。地酒は地のモノとの掛け合わせが一番ってこと。この前はね、
高知の『司牡丹』
っていうお酒と初鰹だったの。」
「吉本」さん、高知にも行ったのか?
「そうよ。お塩でいただいた鰹、お酒は『華麗司牡丹 大吟醸』に『船中八策』。あぁ~思い出したら眩暈しそう。」
おいおい、目が泳いでるぞ。
「そうそう、今度は山形のお料理と『大山』のお酒をいっぱい楽しめるわ」
また随分と手の込んだことやるねぇ、高いんだろ。会費?
「6000円。 行く?」
行くっ! 行ってみたい。

というわけで、行ってきました 第19回吉本試飲会プログラム山形の銘酒『大山』を楽しむ会
平成21年5月23日 夕刻 場所は新宿『吉本』http://www.ooyoshimoto.com/
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へぇ~こざっぱりして清潔感あっていいお店だね。おぉー壁一面にお酒のメニューが。
「そう、地酒が好きなひとにはたまらないわ。」
「こんにちわぁー、初めましてぇ。宜しくおねがいします。」
みんなあちこちで挨拶しあって。お酒の会のお仲間ってやつだな。
「お客さまもね、感じのいい方ばかりだから女の子どうしでもゆっくり楽しめるの」
ほぉー、これが言ってた資料か。
なになに今日のプログラムに『大山』山形県庄内地方の解説に酒の紹介と献立かぁ。ねぇ、『大山』が8銘柄も飲めるって。すごいな。
「飲むって言っても最初は利き酒よ。グラスに少しづついただいて。ほら、この利き酒シートに感想をメモっておくの。お酒については後ほど詳しいご説明をして下さるわ」

なんだょ。このシート提出するのか? 嫌だな。オレ、提出物とか苦手だし。何書けばいいのか分かんないし。
「いいのょ、何でも。好きとか嫌いとか。好きな順番の数字でも、○×△でも。自分のメモなんだから。出さなくてもいいし。」

おっ、始まった。あの人が「吉本」のご主人?
「そう、いつもニコニコの大原さん。お酒のこと何でも優しく教えてくれるわ。利き酒師だし、料理は自ら板場に立ってるし。やっぱり『大山』にも行って来たんですって。旬の食材も調べて来たんですって。」
これだな。珍しいとこでは“桜鱒木の芽焼き”に“孟宗汁 大山酒粕使用”、なんだこりゃ?
「“桜鱒”は山形県の酒田川の河口付近で獲れたもの。孟宗って孟宗竹のことよ。竹が入った粕汁ね。きっと『大山』のお酒を搾ったあとの粕を使ってるんだわ。」
山菜の天ぷらはっと、“月山竹”に“こしあぶら”ってもの山菜か?それとこれなんて読むんだ(山独活)ヤマドッカツ?
「山ウドょ。ひょっとしてあなたヘキサゴン?“こしあぶら”はたらの芽みたいに若芽をいただくの。天ぷらにすると美味しいわょ」
やけに詳しいな。どこで知るんだそんなこと。
「日本酒をいただいてるとね、いろんな食材に出会えるからかな。楽しいわよ」
最後は“酢の物”に“庄内漬け物”かあ。なるほど土地の肴に土地の酒だね。
わぁー、何だか一段と腹へってきた。待ち遠しいね。さあて、今日は飲むぞー。
「ちょっとぉー、ここは飲み会じゃないのよ。楽しむ会。お酒とお料理を堪能しながらね。」
分かってるって。でも楽しく飲んで食べるのが一番だろ?
それもそうね。それに蔵元さんからお話うかがいながらいただくとお酒もお料理も格別よ。
蔵元って、あの人? 若いね。 でも茶色のハッピってのがカッコイイな。
さて、初参加の男友達を連れての「『大山』を楽しむ会」でしたが、期待通り美味しくて有意義で楽しい会になりました。以下いくつか感想をまとめますね。
まず、お米についてビックリしました。山田錦とか美山錦から美味しいお酒が出来ることは知っていましたけど、「はえぬき(山形産)」って初めて。それにこれってご飯のお米でしょ。いただいた8銘柄のうち5銘柄(特別純米酒以下)が「はえぬき」。それに精米は60%~70%。それがどれもホントにおいしくてお料理と合うの。3銘柄の純米大吟醸と純米吟醸は山田錦・出羽燦々・美山錦でした。
蔵元さんがおっしゃるには、「良い米から良い酒を造るのは当たり前。普通の米でも一流の酒を造る」と。蔵元さんのご説明に感心しちゃった。これって加藤嘉八郎酒造店さん独自の“OSK自動製麹機”とか仕込みタンクの“OSタンク”とかのせい? 『大山』の杜氏さんのこだわりは「出来た酒」でなく「造った酒」を提供すること、ですって。

大原さんの言葉をお借りすると「杜氏さんの技にかかるビンテージのお酒は、それはそれで匠の技・芸術として素晴らしい。同時に、常に飲み続けられる変わらぬ味(再現性・普遍性)の追求と技の工夫に加え、それを基本に展開する、何処までのお酒が造れるかの挑戦も酒造りの奥深さと可能性の素晴らしさだと思う。『大山』にはその後者を見る思いがする。」とのこと。まったく同感だわ。だから『大山』の銘柄の中では特別純米酒や純米酒が人気なのね。私もやっぱり『大山』だったら特別純米酒が好き。お値段もお手ごろだし、飽きないし、どんなお料理にも合うわ。
でも、利き酒のアンケートでは山田錦の純米大吟醸『貴一本』が一番人気だったみたい。
でも私は思うのよね、『大山』の真価は吟醸じゃなくて純米酒にあるって。純米酒や本醸造とか普通酒が美味しい蔵がホンモノだって、これって偏見かしら?


“桜鱒の木の芽焼き”は脂っこくなく淡白過ぎずとても上品なお味。『大山』の(旨)辛口がシャキッとしめてくれます。
孟宗汁は初めてだったけど、美味! 具は孟宗竹だけなのに。竹の粕汁仕立てって美味しい。『大山』の純米酒を搾った後の酒粕だったからなお更ね。蔵元さんが持参して下さったの。孟宗竹って、よく見る竹やぶのあの竹よね。来年は筍堀に行こっと。
山菜の天ぷらは、いつも思うのだけど。揚げたてホクホクに塩をして、お燗のお酒でキュっといただきたいわ(だんだん好みがオジサマっぽくなってきました?)。揚げたてとお燗のタイミングがシンクロしてたらもっと良かった。
彼も満足だったみたいだし。少しは日本酒を再発見してくれたかな ヘキサゴンめ。
山独活(山ウド)はいいとしても、飲みだしてからも『大山』(オオヤマ)のことダイセン、ダイセンって言うんだもの。恥かしかったわ。
でも、後で会のアケートみたら、結構いたのね(ダイセン)って読んでたひと。間違えないで、『大山』(オオヤマ)です、皆さんも是非試してみて下さいね。お勧めは絶対に特別純米酒ょ。