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酒は心で醸すもの。人の心を酔わせる酒造り
『 琵琶の長寿 』
創業昭和元年(1926年)の比較的新しい蔵である。
琵琶湖北西岸の片田舎・今津町の旧若狭街道沿いが、銘酒 『琵琶の長寿』 の故郷である。近畿地方の北端に位置するこの地は、気象で言うなら太平洋型気候と日本海型気候の境目。大陸からの寒波と琵琶湖の水と山の悪戯で、冬は豪雪地帯となる。ここで能登杜氏・池ノ上旧元氏伝統の“低温超長期もろみ”仕込みによる酒造りを続けている。
このあたりは上質の井戸水で知られ、古くは15代将軍徳川慶喜の「御膳水」にも用いられたと伝えられる。今もこんこんと湧き出る清冽な水は、仕込み水をはじめ洗瓶に至るまで贅沢に利用されている。
米は主に従来より栽培されている地元「玉栄」を使用。更には栽培農家と協力して「山田錦」の栽培や、「亀の尾」の栽培にもチャレンジしている。この地は9月になると時雨れることが多く、早めに稲を収穫する必要があることから、気候条件・地形に合う品種探しの研究にも余念がない。更に、一農家の協力で鯉を放しての完全無農薬による酒米栽培も行っている。籾播きから刈り取りまでその生育を常に見守って来た米を使い、地元米を原則とした“地酒”造りを目指している。
もろみとの“対話”を重んじる”超長期もろみ仕込み”がこの蔵の技。そこには「酒造り」にあたって、人はその環境を整えるに過ぎず、実際に酵素を造り、酒を醸し出すのは麹菌・酵母菌であるという自然界が織り成す不思議への畏怖と敬いの精神がある。もろみに無理な温度管理をせず、素直な酵母育成の経過をたどることこそ、この地方の風土の特徴を活かした地酒を醸すに最適であるという考え方だ。
また、驚くことにこの蔵には機械槽が存在しない。大吟醸はもとより、上撰・佳撰と言った普通酒まで、完全に手搾りである。醪を全て一旦2階まで汲み上げ、2階から槽までポンプを使わず、醪の自重だけで自然落下で流してきて搾り袋に受ける方法で醪を搾っている。理由は明快。その方が香味がキレイな酒になるからだ。
『琵琶の長寿』はプロが惚れ込む酒としても有名。また直木賞 藤田宜永の「愛の領分」にも登場する。
貴方も、今宵一杯の酒を手に、ぶらりと琵琶のほとりに心の旅に出られては如何だろうか。
(by Forcia) |
酒は心で醸すもの。人の心を酔わせる酒造り
『 琵琶の長寿 』